Elements of Light

Product, Prototype

SaloneSatellite2022

2022

古代の人々にとっての世界は、身の回りにある水や風、土や火、光と闇などの美しくも畏怖すべき自然現象の根源的な要素とその性質の組み合わせで構成されているものでした。私たちAATISMOはそうした自然の要素の中から3つを抽出し、それらをモチーフとして光についての探究を行いました。Elements of Lightは光がもつ様々な側面に着目することで生まれた、プリミティブな形状でどこか古代の祈りの道具のような神聖さを感じさせる3つの照明のシリーズです。
 
Aether
Aether (エーテル)とは近代科学以前に光を伝達する媒質としてくまなく空間を満たしていると考えられていた物質です。その媒質が放つかのような、全てを柔らかく包み込む様な光を作り出すために、吹きガラスでできたシェードの中に半透明の膜を浮かべました。それが上にある光源から降り注ぐ光を受け、拡散させることで空間を光で満たします。この照明作品自体がエーテルという1つの元素を体現しています。
 
Air
風すなわち空気の動きは最も身近に感じられる自然エネルギーの一つです。地球上にはさまざまな物質や現象からエネルギーを得て活動する生命が存在しますが、Airはその中の一つとして風からエネルギーを得る新しい発光生物となるように作られました。折り紙構造による薄い金属製の羽が風を受けて揺れることにより、内蔵された圧電素子が発電しLEDがゆっくりと光り出します。その光は周囲の風が持つエネルギーの移ろいを反映し、蛍のように繊細に明滅して生命の存在を感じさせます。
 
Water
満月の晩、月の発する光は海や湖の水面、または器に入った水に映って煌々と輝き、まるで水自体がその内側から光を放つかのようです。 蛍光灯に使われていた廃ガラスのかけらを器に入れて炉で溶かすと、ガラスは器に入れらた水のようにその形を変えます。生まれ変わったガラスは、中に小さな気泡を閉じ込め、表面には破片の形の名残を残し、月明かりに照らされた水のように静かな光を放ちます。
 
Photography: Shinya Sato
Production: YSM
Blown Glass: 猿江ガラス

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